「ヤンキーインターン」とビットコイン産業の共通点
──暗号資産という面では、イーサリアムもありますが、やはりビットコインなんですか?
久世:そもそもビットコインはお金であり、500兆ドルの市場機会があります。一方のイーサリアムは技術であり、せいぜい新しいテクノロジー企業だと思います。個人的には比べるものではないと考えています。
──久世さんは2016年12月に株式会社ハッシャダイを創業し、非大卒の若者を企業に送り込む「ヤンキーインターン」というサービスを生み出しました。学歴のない若者に食住を提供し、半年間、ビジネス研修をするヤンキーインターンはある意味で衝撃的でした。そのハッシャダイは2018年4月にDMMの子会社になりましたが、その後、久世さんは何をされていたのでしょうか?
久世:DMMの子会社になった後、1年間はハッシャダイの社長をしていましたが、その後はDMMの亀山(敬司)会長の下で働いていました。DMMの子会社の取締役をしたり、事業投資や新サービスの立ち上げを管掌したりと、とにかく亀山会長から任された仕事はすべてやってきました。
実は、ビットコインの産業化については、DMMの中で進めるつもりでいました。ただ、慎重に稟議を重ね、準備も整って、いよいよ始まる!というキックオフの前日にDMMビットコインの不正流出事件が起きまして。
──すごいタイミングですね。
久世:それで、社内的にビットコインに関する事業はいったんストップになり、であれば独立しようと思って今回の日本ビットコイン産業を立ち上げました。本当は、DMMの巨大なプラットフォームとビットコインを掛け合わせた展開を狙っていたのですが、状況的にやむなしでした。
──ハッシャダイの起業と、今回の日本ビットコイン産業の起業には、何か共通点はあるのでしょうか。
久世:それは明確にあります。ヤンキーインターンを始めた背景には、労働市場におけるギャップがありました。
今はもっと深刻になっていますが、当時の日本は高齢化が進んでおり、生産年齢人口、とりわけ若者の数が減り始めていました。企業も、若い人材を集めるのに苦労し始めていた頃です。一方、非大卒の若者は学歴がないため、労働市場から弾き出され、低賃金の仕事か、肉体労働の仕事につくことを余儀なくされていました。
であるならば、非大卒の若者を鍛えて戦力化すれば、もとのバリューが低いだけに、大きな価値を生み出すことができます。それで、ヤンキーインターンを始めました。
ビットコインも似たようなところがあって、ビットコイン自体には価値があり、世界的にも広く認められていますが、日本ではネガティブなイメージがあり、本来の価値からは割安に置かれている。どちらもギャップがあり、そのギャップを適正化する中で価値が生まれると感じています。