本社は秘密基地をイメージした不思議な空間
暗号資産の一つであるビットコインの価格が上昇している。10月7日には、史上最高値の12万6000ドルを更新するなど、その勢いはしばらく止まりそうにない。その背景にあるのは、法定通貨に対する信認の低下だ。ドルをはじめとする法定通貨から逃避したマネーがビットコインや金に流入しているのだ。
このビットコインに魅せられ、ビットコインをベースにした産業を日本に興そうとしている起業家がいる。日本ビットコイン産業株式会社の代表を務める久世大亮氏だ。中卒や高卒など非大卒の若者を戦力化する「ヤンキーインターン」で注目を集めた久世氏は、なぜ次のビジネスとしてビットコインを選択したのか。久世氏に話を聞いた(聞き手:篠原匡、編集者・ジャーナリスト)
関連ビジネスが全く立ち上がっていない日本
──2024年11月に、日本ビットコイン産業というスタートアップを立ち上げました。そのものズバリの社名ですが、「どのような企業なのか」というところから教えていただけますか?
久世大亮氏(以下、久世):文字通り、日本にビットコイン産業という産業を興すことを目的にした会社です。インターネットの登場によってインターネット産業が生まれたように、ビットコインの登場によってビットコイン産業が生まれるはず。その産業に貢献すること、ただそれだけを目的にしています。
その裏側には、日本にはビットコインに関連するビジネスが全く立ち上がっていないという危機感があります。
看板は木彫りだが……
ご存じかもしれませんが、海外ではビットコインが日常のさまざまな場面で普通に使えます。BTC Mapという地図アプリがありますが、このアプリで世界の都市を見ると、ビットコインで決済できる店がたくさん出てきます。
スマホのビットコイン決済用ウォレットアプリを使えば、PayPay(ペイペイ)で支払うようにビットコインで決済ができる。国内だけでなく、どこの国に行ってもビットコインで決済できるので、メチャクチャ便利です。
ただ、日本ではビットコインをこのように使う人は少数派です。ほとんどいないと言ってもいいかもしれません。利用者がいないため、ビットコインを使った決済アプリや決済システムを開発する企業はいませんし、導入する店舗もない。そうこうしているうちに、日本は取り残されてしまうでしょう。
僕は、その状況がマズいと思っているんです。
──何がマズいのでしょうか?