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 今や子育てにスマホやタブレットは欠かせなくなった時代。幼少期からインターネットが身近にある今、保育や教育の現場で「子どもたちに本当に必要な力」とは何かが問われている。

 『2050年の保育 子どもの主体性を育てる実践的アプローチ』の著者・菊地翔豊さんと26歳の若さで芦屋市長となった髙島崚輔さんの対談後編では、スマホ時代を生きる子どもたちが2050年の社会をどう生き抜くのかまでを語ります。

W杯への興味から広がった学び

菊地翔豊(以下、菊地):髙島さんは、東京大学からアメリカのハーバード大学に進学されて、最年少で芦屋市の市長に当選された、まさに“エリート”と言える経歴をお持ちですが、子どもの頃から好奇心が旺盛だったんですか?

髙島崚輔(以下、髙島):好奇心は旺盛だったと思います。たとえば、自分が5歳の時に日韓FIFAワールドカップが開催されたのですが、どの国が最後に優勝するのか気になって、すべての試合結果のスコアを手帳につけていました。

菊地:5歳でサッカーのルールを理解していたんですね。そのうえ試合のスコアまで分析されていたとは。もともとサッカーが得意だったんですか?

髙島:特にサッカーが得意というわけではなかったのですが、幼稚園のサッカークラブに入ってよく友達と遊んでいました。

菊地:すべての試合の結果を手帳につけていくなかで、なにか新しい学びに繋がったことはありますか?

髙島:いろんな国の試合の結果を見ているうちに、それぞれの国の名前や国旗に興味を持つようになりました。お風呂に国旗の一覧シートを貼ってもらい、国旗と国の場所を一生懸命覚えていたようです。

菊地:エデュリーの“探究型保育”と同じやり方ですね。 

髙島:そういう意味では、子どもの頃から知らぬうちに、探究型の学びを重ねていたのかもしれません。

気になったことは家族で一緒に考える

菊地:髙島さんは、幼少期に1日50冊近い絵本を読み聞かせしてもらっていたと伺ったのですが、他にもご両親から受けた教育で印象的だったことはありますか?

髙島:例えば、母と散歩をしているとき、「空はなんで青いのだろう?」とか「花はなぜこんな綺麗な色なのだろう?」と、ふと頭に浮かんだ疑問を親子で一緒に考えていたことは、よく覚えています。

菊地:まさに日常の中の“つぶやき”から生まれてくる学び。

髙島:2人の弟たちが生まれてからは、兄弟でも気になったことをゲーム感覚で、クイズのように投げかけ合っていました。

菊地:それは正しい答えを出した方が勝ちなんですか?

髙島:正しさよりも他の人を「なるほど!」と、納得させた人が勝ちというルールです(笑)。今でもよく兄弟で気になったことをテーマに議論しています。

 たとえば、「なんで街路樹って同じ高さのものが多いんだろう」というお題に対して、「制限の規定があるんじゃない?」「同じ高さの品種を植えているからだよ」と、大喜利のようにお互いの意見を出し合うんです。