東京科学大学発のリバーフィールドが開発販売する手術ロボ。アニコムホールディングスのJARVISどうぶつ医療センターTokyoでは、未承認ながら動物向けに導入された。左下が術者が座るコンソール。ここで操作する(写真:筆者)
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(ステラ・メディックス代表、獣医師/ジャーナリスト 星良孝)

 2025年9月、東京都港区港南に、ペット保険を販売するアニコムホールディングスが「JARVISどうぶつ医療センターTokyo」を開業した。

 ここは、かつて医療機器の欧州大手フィリップスが国内の拠点を置いていたことで知られる場所だ。ここがビル丸ごと動物病院になるなんて想像したこともなかった。

「動物病院に適した大型の建物はなかなかなかったが、絶好の場所に開設できた。国内からのアクセスばかりではなく、海外からの利用も見込んだ立地だ」とアニコムホールディングス社長の小森伸昭氏は説明する。

 この施設は、人用としても高性能の医療機器を数々導入し、ガラス張りの手術室など特別な内装を取り入れ、文字通り動物医療をガラス張りにしていることが特徴だ。

 その中でも、特に注目されるのが、東京科学大学発メーカー、リバーフィールドが開発した手術支援ロボット(以下、手術ロボ)を使った治療を、未承認ながら動物向けに導入したことだ。

 この手術ロボの重要な点は、治療データなどを取得した上で、AI(人工知能)開発に用いるところ。今後、AIを用いた治療が可能になると見られている。人でもAIを用いたロボット手術は黎明期で、大袈裟なことを言えば、動物で先に、進歩する可能性も秘めている。