筆者のインタビューに答える西田昌司参院議員
昨年の衆院選に続き、7月20日投開票の参院選でも惨敗した石破政権。自民党内からは退陣要求が噴出するが、石破茂首相(68)はかたくなに続投にこだわる。選挙前から「今の体制では戦えない」と猛批判し、苦戦の末、辛くも4選を果たした自民党の西田昌司参院議員(66)は「退陣は不可避で、フルスペックでの総裁選を実施すべきだ」と提言する。
(ジャーナリスト:河野嘉誠)
選挙の結果責任「自分だけ例外は通用しない」
──石破総理は7月25日の長野県での講演で、続投に重ねて意欲を示した。
西田昌司・参院議員(以下、西田):石破総理としては、参院選の敗因をたどれば、安倍派をはじめとする自民党派閥の裏金事件に行き着くとお考えなのでしょう。そのうえで、自民党不信の元凶である旧安倍派などから退陣を要求される筋合いはないと……。石破さんの中では、すべて合理的な判断をしているが、それが周囲に評価されないという忸怩たる思いもあると思われます。
私としては、同情する部分もありますが、石破さんは時の総理に対して、選挙での結果責任を取ることを常に求められてきた方です。自分だけ例外というのは通用しない。信なくば立たずですから、ここは謙虚に結果を受け入れて、ご自身の身の処し方を判断されるべきです。続投はあり得ません。
──党内には、8月半ばにも総裁選を実施すべきだという声もあるが?
西田:当然、やるべきでしょう。7月28日には、両院議員懇談会が開かれます。懇談会であるため、決定権はない会合ですが、様々な意見が出るでしょう。続投を求める声は、ほとんど出ないでしょう。石破総理が、辞任しない理由として言及していたアメリカとの関税交渉についても、一定の決着がつきましたから。
緊急時の総裁選については、全国一斉の党員投票を省略し、両院議員総会で選出するという手法もあります。しかし、やはり私は党則に基づき、党員投票も行う「フルスペック」での総裁選の実施を求めます。総裁選期間中の候補者同士の議論を通じて、自民党の中でどんな議論があり、今後いかなる政策をやっていくのかという方向性を、国民の皆さんにしっかりと見ていただきただきたいからです。
──総裁選の争点は?
西田:政策的には、参院選で自民党が敗北した理由が何かをしっかりと考えることです。私は石破政権が、ややリベラル側、そして積極財政から緊縮財政に舵を切りすぎ、岩盤保守層の離反を招いた面があったと考えています。旧民主系も、立憲民主党というリベラルで緊縮財政派と、国民民主という保守派の積極財政派に分かれましたが、前者は伸び悩む結果に終わりました。
──石破政権が消費減税を掲げていたら、結果は違った?
西田:それは全然違っていたと思います。私はずっとそれを求めていましたから。石破政権は財政破綻論にとらわれすぎていた。
とはいえ、適切な経済政策とはTPO(時と所と場合)で変わるものです。景気が悪い時は財政出動が必要だが、インフレになったら財政を引き締めないといけない。
自民党の自民党たる所以は、緊縮派もいるけど、積極派もいる幅の広さです。石破さんのようなリベラル派もいれば、私のような保守派もいる。それを大事にして、バランスをとりながらも、その時々で適切な政策をしっかりと進められるような体制にしていかなくてはならない。