筆者は昨年12月3日の『ヒット商品番付デフレ7年周期」』の中で、日経MJ(日経流通新聞)が定期的に公表している「ヒット商品番付」をもとに、デフレ関連商品の隆盛には「7年周期」があることを指摘した。

 第1次「低価格ブーム」(1993~94年)では、「価格破壊」「新価格革命」がキーワードになり、大手スーパーのプライベートブランド(PB)である「セービング」や、ベルギー産ビール「バーゲンブロー」「低価格PBコーラ」などが存在感を発揮。また、第2次「低価格ブーム」(2000~01年)では、「ユニクロ」「平日半額バーガー」「メード・イン・チャイナ」「200円台牛丼」が話題をさらった。

 そして、2008~09年は第3次「低価格ブーム」と位置付けることができそうである。所得がなかなか伸びてこない中で発生した「原油・穀物バブル」は、消費者の購買行動を「守り」に追い込んだ。売り手の側は、そうした変化にいちはやく対応し、PB商品を拡充することで売れ筋をつくった。2008年年間の日経MJ「ヒット商品番付」には、大手スーパーのPB「セブンプレミアム」「トップバリュ」などがランクインしていた。

 その後、景気が急角度で一段と悪化したことに起因するデフレ圧力が、上乗せ的に、日本経済に強く及ぶようになってきている。身近な商品の値下がり(あるいは値崩れ)から、そうした兆候を感じ取っている方も少なくないだろう。

 昨年11月に鹿児島に出張した際、地元の弁当チェーンが「290円弁当」を販売していたことが、筆者にとっては非常に印象的だった。ある雑誌の経済コラムで、このエピソードを紹介したほどである。ところが、インターネットで調べてみると、最近では、東京・浅草や名古屋、京都といった全国各地で「250円弁当」が売られていることが分かる。

 大手スーパーの一角は4月3日、300円を切る低価格の弁当をグループ373店舗で6日から発売すると発表した。これまで498円だった「和風煮物弁当」「サケ弁当」「ハンバーグ弁当」と同じ種類の弁当を、100%子会社による原料一括調達と自社工場での効率生産によって低価格化し、298円での販売を実現。これによって弁当類全体の2009年度の売り上げを前年度比+30%に引き上げる計画だという(4月4日 産経新聞)。298円というのは、大手スーパーでは最低価格水準(4月4日 日経新聞)。