マレーシアのクアラルンプールで開催された第58回ASEAN外相会議で会談するベトナムのブイ・タイン・ソン外相とマルコ・ルビオ米国務長官(資料写真、2025年7月11日、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
(川島 博之:ベトナム・ビングループ Martial Research & Management 主席経済顧問、元東京大学大学院農学生命科学研究科准教授)
米国は先日ベトナムとの関税交渉が終結したと発表した。ベトナムの関税率は20%になった。これは日本と韓国に課された25%よりも低く、インドネシア(32%)、カンボジアとタイ(36%)、マレーシア(25%)、ラオスとミャンマー(40%)、バングラデシュ(35%)といった近隣諸国よりも低い。
ベトナムのライバルとも言えるタイは、トランプ政権との関税交渉そっちのけで、カンボジアとの国境問題に端を発した政争に揺れている。このような状態が続けば、ベトナムのGDPはそう遠くない将来にタイを追い抜くことになろう。ベトナムはマレーシアと並んで、東南アジアで最も発展した国になる可能性がある。
中国からの迂回輸出の拠点に
ベトナムに対する関税率には追加条項があり、第三国からの輸入した部品を使っている製品には40%の関税が課される。近年ベトナムは中国からの迂回輸出の拠点になっており、追加条項はそれを念頭に置いたものだ。