
(中島 厚志:エコノミスト)
6月22日に通常国会が閉会した。コメなどの食品価格高騰、円安の影響による物価上昇が生活を圧迫しており、今通常国会では、物価対策および景気下支えを目的に、消費税減税や一律現金給付の是非が議論された。
同時に、就職氷河期世代の基礎年金を引き上げる議論も活発に行われた。90年代前半のバブル崩壊後の長期不況と深刻な雇用環境によって、就職氷河期世代の将来の年金受給額が現在より3割減に陥るような事態すら懸念されることが背景にある。
ところが、消費税減税や現金給付は、消費喚起・家計支援の大きさや財源を巡る溝が埋まらず、今通常国会では成立しなかった。議論が、7月に予定される参議院選挙での与野党公約ならびに選挙後に編成される補正予算に持ち越された形である。
また、基礎年金の底上げについては、自民党と立憲民主党が合意し、それを受けて年金改正法が成立した。しかし、実施の是非については、4年後に予定される次回財政検証の結果を踏まえて判断されることとなり、事実上、先送りされた。
この消費税減税、現金給付持ち越しと年金引き上げ先送りの大きな要因となったのが、10年超の超長期国債金利の急激な上昇である(図1)。そして、その上昇には、普通であればいくつもの要因が重なっている。
