『続窓ぎわのトットちゃん』のPRも手がけた(写真:新華社/共同通信イメージズ)
『続 窓ぎわのトットちゃん』のPRも手がけた(写真:新華社/共同通信イメージズ)

 街から本屋さんがなくなり、読書離れと言われて本が売れない時代に、50万部ヒットをはじめ数々のベストセラー書籍のPRを担当する黒田剛氏。なぜ黒田氏がPRを担当する書籍はメディアに取り上げられるのだろうか。【後編】

※この記事は『非効率思考 相手の心を動かす最高の伝え方』(講談社)より一部抜粋・編集しました。

「頼む」のではなく「頼る」

 僕はテレビの人に「この本、取り上げてください」と頼むことはほとんどない。なぜなら、頼み込んで決まることは、ほとんどないからだ。

 重要なのは、テレビで取り上げてもらうために何が必要かを考え、その情報を“尋ねる”こと。人はついついこの“尋ねる”ことを忘れてしまう。

 僕は自分の経験から、「1人でやるよりも、みんなでやる」ほうが絶対よい結果になると思っている。仕事は団体戦だ。その団体戦の仲間というのは、けっして著者や編集者だけではない。メディアの人たちだって、団体戦のチームメイトだと考えている。

「レシピ本をもし取り上げていただくとしたら、どんな方法がありますでしょうか? ぜひご意見をお聞かせください!」と、メディアの人に、あくまでも前向きな姿勢で聞いてみるのだ。

「やっぱり手間なしレシピか節約ネタが嬉しいですね」という要望があれば、それを聞きながら、自分もテレビのスタッフの一員になった気持ちで相手と一緒に考える。

 言われた通りそのまま用意する必要はない。参考にすればいいのだ。大切なのは自分だけで完結しようとせず、誰かに頼ることだ。

 そこで、自分が担当している本のなかから、「手間なし」と「節約」の両方が入ったフライパン1つでできるレシピ本を提案。すると、こんな反応が返ってくる。「いいですね! 明日の会議に出してみますね!」

 こうなると、一緒に企画を作っている感じになっているのが、わかるだろうか? この段階で、番組スタッフと“チーム”になれたような流れを作れるのが理想的な状態だ。

 大切なのは要望を聞いたら、必ず提案することだ。「尋ねる」と「提案」がセットになってはじめて「頼る」が成り立つ。