経済政策、実は打てる手がほとんどない
高善文は、はっきりと中国が発表する経済データの信頼性に問題があることを指摘し、現在の失業者が正常時よりも4700万人多いとしている。ここに2025年の新卒生1222万人が加われば、おそらく中国史上最高の失業率を更新し、非常に厳しい社会不安に直面するだろう。
中国の家政サービスプラットフォーム「58到家」に報告書によると、最近、家政サービス業務の高学歴化と若返り化が顕著で、今年の大学卒業生の家政業務登録は2023年の4.2倍になっているという。ここに空前の非婚と低出生率問題が重なり少子高齢化が加速度的に進むとみられている。
こうした経済構造の問題点を指摘して対策を公に討論するということが、習近平独裁体制では封じ込められている。そのため、地方官僚たちは自らの意見や見識をもって自由な政策を試すことはできず、結局、上の指示を聞く以外なにもしない「躺平主義」に陥り、そのことが経済の活力を削ぎ落すことになっている。
つまり内需が急速に縮小し、外需は厳しい制裁的関税に直面し、中国として効果的な経済政策の打つ手が実はほとんどない、ということになる。
こうした中国経済先行きの絶望感を反映する形で、年末に向かって大量のテナント解約ブームが起きていると、中国のセルフメディアで話題になっている。いわゆる個人事業主がやっている売店、飲食店、ネイルショップ、マッサージ店、理容店などが経営を維持できなくなって来年のテナント契約更新をやめているらしい。その状況が、テナント家賃の急暴落という形で示されているという。
これは公式な統計発表が出されているわけではない。SNSで、「テナントを解約するといったら1万5000元だったテナント料がいきなり8000万元に値下げされた」といった証言が年末に向けて急激に増えたことで、テナント解約ブームが起きていると人々が噂しあっているのだ。