トランプ大統領に持ちかける「ディール」
今年になってウクライナはF16戦闘機を実戦に投入した。米国から供与されたF16は10機程度とされるが、それでも戦場で存在感を示している。米国は2028年までにウクライナに80機を供与する予定とされる。
ベトナムのハノイでは、米国からF16戦闘機を輸入することが密かに語られている。これまでベトナムはロシア製のスホーイ30戦闘機を使用してきたが、現在F16に興味を示している。昨年9月にバイデン大統領がベトナムを訪問したが、その直後にベトナムの専門家が渡米して、F16の導入について協議したとされる。
トランプ大統領から貿易不均衡の是正を迫られた時に、F16戦闘機の購入を言い出すことによって関税のアップを回避したい。そんな話が囁かれている。
F16は1機約100億円であり、100機程度を購入すれば貿易黒字を1兆円減らすことができる。米国でパイロットの訓練を行いまた補充部品を購入すれば、それも赤字解消に貢献する。
トランプ大統領はディール(取引)が好きであり、眼に見える成果を好むから、F16を購入すると約束すれば米国との貿易をこれまで通り続けて行くことができるかもしれない。そんな思惑が語られている。
ただこれはベトナムと米国の間だけの問題では済まない。まずロシアの怒りを買う。ソ連の時代からロシアはベトナムを支援してきた。そんなこともあり、現在、ベトナムの兵器はほぼロシア製であり、ロシアの兵器産業にとってベトナムはお得意様である。そんなベトナムが高価な戦闘機を米国から購入することになれば、プーチンは大いに怒るだろう。