ホンダにも日産を「救済」している余裕はない

 両社が資本提携した場合、ホンダが日産の経営権を取得し、ホンダが経営をリードするような形、すなわちホンダが日産を救済するような面が強まるだろう。しかし、ホンダ社内には「日産のリストラを指導し、再生させるノウハウはうちにはない」との意見も根強い。

 さらに、日産は社外取締役が過半数を占める指名委員会等設置会社であり、経営悪化を受けて内田社長の経営責任を問う声が高まるのではないかと、社内では見られている。経営体制を抜本的に変えなければ日産の再生はないという意味だ。

 協業、資本提携交渉は、内田社長とホンダの三部敏宏社長の信頼関係で進んできた面がある。日産の経営体制が変われば、戦略はゼロから再構築されるかもしれないのだ。

 こうした中で両社が資本提携すれば、共倒れするリスクが高まるのではないか。共倒れは言い過ぎかもしれないが、両社にとって「果実」がある資本提携には結びつかないかもしれない。

 筆者が考えるベストシナリオの一つとしては次のようなものだ。