しかしWSJによると、インテルのファウンドリー事業はスタート時点で出遅れた。そして、巨額投資による赤字が膨らむなか、突如やってきたのが生成AI(人工知能)ブームだった。これにより、半導体需要はインテルが得意とするCPU(中央演算処理装置)から、米エヌビディア(NVIDIA)が得意とするGPU(画像処理半導体)へとシフトしていった。米調査会社CFRAリサーチのアナリストのアンジェロ・ジーノ氏は「過去2~3年におけるAIへのシフトが、彼ら(インテル)にとってまさに、『とどめの一撃となった(英慣用句=nail in the coffin)』」と指摘した。

ゲルシンガー氏の経営の立て直し策

 ゲルシンガー氏は経営の立て直しを進めるため、コスト削減に着手した。22年から数千人の一時解雇(レイオフ)を実施し、23年に配当を引き下げた。インテルが先ごろ発表した24年4~6月期決算は、最終損益が16億1000万ドル(約2300億円)の赤字で、2四半期連続の最終赤字となった。このとき同社は従業員の15%に当たる1万5000人のレイオフを発表。25年に100億ドル(約1兆4500億円)のコストを削減し、配当を停止することも明らかにした

 加えて、ゲルシンガー氏は24年9月16日、ファウンドリー事業を分離・子会社化すると発表した。同社は次世代半導体製造プロセス技術「Intel 18A」(1.8nm相当)への移行計画を進めており、24年9月4日にその計画が順調に進んでいるとアピールしていたところだった。

 同氏は9月16日付の従業員宛て書簡で「子会社化は、重要なメリットをもたらす。外部のファウンドリー顧客やサプライヤーに対して、インテルの他部門からの明確な分離と独立性を示せる。さらに重要なのは、将来的に独立した資金調達源を検討する柔軟性が得られることだ」と説明した。

 同氏は従業員に向けて「全ての目が私たちに向けられている。私たちは、一歩一歩確実に戦い、これまで以上に優れた成果を出さなければならない、それが批判を黙らせ、私たちが達成できると信じている結果を出す唯一の方法だからだ」と訴えた。