受け入れ額の約半分が経費に消える

 総務省の公表資料によると、2022年度には全国の自治体が総額で9654億円のふるさと納税を受け入れましたが、自治体側はこの受け入れ額のために4517億円の費用を要しました。

 受け入れ額に占める割合は46.8%。本来は全額が税収になるはずだったふるさと納税の寄付金は、実に半分近くが返礼品の調達や送付、広報、決済、事務などの経費となって消えているのです。


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 逆に言えば、ポータル事業の運営者にとっては、安定的な収益を見込める有力な市場。米国のアマゾンが参入を図る理由もそこにあります。

「ふるさと納税バブル」という言葉も飛び交うなか、アマゾンの参入が伝えられたのは、2024年3月上旬のことです。参入時期は2025年春。すでにアマゾンの日本法人「アマゾンジャパン」が自治体の担当者に対し、取り扱いの際の手数料などについて細かな条件説明を行っていると複数のメディアが報じました。

 報道によると、アマゾンのサービスは「アマゾンふるさと」で、自治体関係者は提示された手数料が破格に安くて驚いたとされています。通常、仲介のポータル事業者は10%程度の手数料を取っていると言われていますが、早くに契約した場合、現在の標準よりも相当に安い手数料をアマゾンは提示したとされています。

 三重県内では、すでに3分の2の自治体がアマゾンの接触を受けたという報道もあり、水面下での自治体への働き掛けが相当に進んでいることをうかがわせています。