同年11月9日付で、小池氏から弁護士を通じて次のような回答があった。

「小池氏は、カイロ・アメリカン大学にてアラビア語を学んだ後、1976年10月にカイロ大学を卒業しました。同氏は、帰国後、官庁はじめ、企業の依頼により、アラビア語通訳を務めておりました。以上」

結論

 以上述べた諸点の評価を踏まえ、小池氏がカイロ大学を卒業していないという同居女性の証言を疑う理由はないと筆者は考える。弁護士を通じて卒論がなかったと回答しているのは、同居女性が証言するとおり、4年生になれていなかったので、卒論の存在を知らなかったのだろう。

 小池氏は学歴に関する嘘が非常に多い。都議会で、教授の一人から成績はトップなので大学院に進んだらどうかと言われたので、著書に首席卒業と書いたと答弁しているが、仮にチラ見せしている卒業証書が本物であったとしても、成績は合格点の下から2番目の「ジャイイド(good)」なので、明らかに嘘である。

 小池氏は、24歳でカイロから帰国したとき、政治家になるなどとは思っておらず、マスコミが物珍しさで飛びついてきたので、調子に乗って嘘の経歴を話したというのが事の始まりなのかもしれない。その後、テレビキャスターになるにあたり、大学を出ていないのでは恰好がつかないと思い、嘘を上塗りし、政治家になってからは後戻りできなくなって、卒業したと強弁しているように見える。

 もちろん許される話ではない。事実なら犯罪である。小池氏がアラブ諸国の大使などが集まった席で、一言か二言初歩的なアラビア語で話し、「今のは〇〇という意味のアラビア語です」と日本のメディアに向けて得意げに語っている姿には赤面を禁じ得ない。このような人物がカイロ大学を卒業したと自称するのは、懸命にアラビア語やアラブ文化を学び、きちんと試験を受け、卒論を提出してカイロ大学を卒業した人々に対する冒とくであろう。

 取材で会った小池氏を知る複数の日本人は「小池さんは自分の利益になる人としか付き合わない」と言う。石井妙子氏による『小池百合子「虚飾の履歴書」』(「文藝春秋」2018年7月号)にも一時期結婚していた男性が「はじめから利用されるとわかっていた」と顔をこわばらせたという同居女性の証言がある。その小池氏が、今もエジプトに出かけ、ターリク・ハーテム氏とのコンタクトを続け、来日したエジプトの高官やカイロ大学関係者に会うのは「ほら、彼らも何も言わないでしょ? だから私はカイロ大学を出ているのよ」と言っているように見える(事実、都議会でそういう趣旨の答弁をしている)。小池氏は、東京とカイロの友好都市協定30周年の行事にも乗り気で、昨年11月頃、その調査のためなどに都職員をカイロに派遣しているが、これもそうしたデモンストレーションを兼ねてのことのようにも感じられる。

 筆者には小池氏がカイロ大学の条件を満たして卒業したとは到底思えない。

 小池氏は本件につき、公人として事情を詳しく説明する責任があるのは当然だ。繰り返しになるが、手紙やメモという証拠にもとづいた同居女性の証言が存在し、”不正入学”と"不正卒業"の可能性がある限り、「卒業証明書も卒業証書もある。カイロ大学も認めている」では、誰も永遠に納得しない。疑惑を払拭したいのなら、疑問点にきちんと答えるべきである。そういう基本的なこともできないのなら、学歴詐称をしているということだ。

(了)