新規採用だけではなく現職も対象に?

 そして、報告書の内容をもとにして今年2月28日、日本版DBS法案(児童対象性暴力防止法案)の骨子を自民党の部会で示したのです。それによると、ポイントは以下のようになっています。

*学校や児童養護施設、保健所など子どもと接する公的機関は、義務として就労者の性犯罪歴を確認する。

*新規就労者だけでなく、現職も対象とする。

*照会できる期間は、懲役・禁錮の場合が刑期の終了から20年。執行猶予が付いた場合は判決確定から10年。罰金以下は10年。

*事業者に対しては、児童らとの相談窓口の整備を義務付ける。

 つまり、日本版DBSが稼働すると、学校などの公的機関は新規採用だけでなく、現在働いている教職員全員を対象に、性犯罪歴照会を実施しなければなりません。

 一方、民間のスポーツクラブや塾などには任意の認定制を導入します。認定を申請しない事業者は今のまま営業を続けることが可能です。これに対し、こども家庭庁に申請して「認定事業者」となった事業者は従業員の照会が義務となります。その代わり、認定事業者として周知され、利用者の信頼度が高まるという仕組みです。

 新規採用の場合、性犯罪歴の照会結果はまず就職希望者本人に通知されます。その段階で内定などを辞退すれば、事業者に犯歴が通知されることはありません。一方、現職の就労者の中に性犯罪歴の該当者がいた場合、こども家庭庁は事業者に対し、その当人の配置転換などを求めます。それが難しい場合は、解雇も許容されるとの考えです。