マッチングアプリ経由の犯罪に衝撃

 2022年9月、連続わいせつ事件を起こした被告の男に対し、東京地裁は懲役20年の判決を言い渡しました。男はベビーシッターのマッチングアプリ「キッズライン」に登録し、シッターを装って男児に接近。2019年までのおよそ5年間、犯行を重ねました。

 被害者は5〜11歳の男児20人で、起訴事実は強制性交罪や強制わいせつ罪など計56件にも及んでいます。このほかにも、同じアプリを使って性犯罪を繰り返していた男が有罪判決を受けました。

 近年は子どもが被害を受ける性犯罪がしきりに報道されていますが、件数の多さやマッチングアプリを利用して子どもに接近していたという手口など「キッズライン事件」の衝撃は計り知れませんでした。

 深刻な被害を受けたとしても、未成熟な子どもは事実をきちんと外部に伝えることができません。誰にも言えず、1人で苦しみ続けることもあります。そうしたことから、政府や国会議員、有識者の間では、子どもの被害を未然に防ぐための制度づくりを急ぐべきだとの声が急速に高まったのです。

 2023年4月に発足したこども家庭庁は、それまでの議論を引き継ぐ形で「こども関連従事者の性犯罪歴等の確認に関する有識者会議」を設置。同会議は日本版DBSの創設に向けて議論を重ね、わずか3カ月のスピード審議で報告書を取りまとめました。