通常のドラマより多いカット数

 制作費が潤沢にあると、何がほかのドラマと違って来るか。まず、映像に見応えを感じている人が多いはずだが、その理由はモンゴルでロケをしたためだけではない。通常のドラマよりカット(場面)数が多いからである。

 カットとは同じ構図の映像。カットが替わると、映像がアップになったり、違う人物の映像になったりする。カット数が多いほどテンポが速くなり、見応えが出やすい。一方、カット数が少ないほどスローテンポになり、ややもすれば退屈な映像になってしまう。

 通常のドラマは正味約45分で350~400カット程度だが、『VIVANT』は同じく約45分で500弱~600弱カットある。2、3割多い。ちなみに一般的な日本映画の場合、100分作品でおおよそ600〜700カットである。

 テンポのいい映像だったスティーヴン・スピルバーグ監督(76)の映画『JAWS』(1975年)は124分作品で約1000カットだった。『VIVANT』は同程度。ほかのドラマもカット数を増やせるのだが、時間と手間が掛かるので、制作費が充分にないと出来ない。