ロンドンに描かれたRun-D.M.C.のDJ、ジャム・マスター・ジェイのストリートアート(写真:Dave Rushen/SOPA Images via ZUMA Wire/共同通信イメージズ)

 SNSの登場により誰もがモノを言える時代になったが、自分の名前や顔を晒して、自分の責任のもとに意見を述べられる人ははたしてどれくらいいるのだろうか。匿名の論破合戦は大好きだが、投票率は落ちていく日本で、人々は本当に民主主義に参加していると言えるのだろうか。

Kダブシャインの学問のすゝめ』(星海社新書)を上梓したラッパーのKダブシャイン氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト)

──高校受験を廃止することをご提案されています。なぜ、高校受験が良くないと感じているのでしょうか。

Kダブシャイン:高校受験は取り返しがつきません。受験に失敗したり中退したりすると、なかなか学生生活に復帰できないからです。

 中学校3年生は、まだ自分が不確かで、これからどんどん好きなことや得意なことを見つけていく段階。このタイミングで、人生を大きく左右する受験をしなければならないというのはたいへんなプレッシャーです。

 今は多くの子どもたちがこのレースに否応なしに参加させられていますが、成長の妨げになると感じます。

 それに、合格したとしても、30人ほどの学生が毎日同じ教室の中で過ごさなければならない。こういう環境はいびつで、イジメにもつながりかねない。

 生徒が授業の内容を自分で選択するアメリカの高校の場合は、授業ごとにクラスメイトが変わるので、もっと風通しがいい。日本の受験と教室の制度は子どもの成長にプラスだとは思えない。

 できのいいエリート候補を選び出して、それ以外を振るい落としていく受験の制度が、日本では小中高、そして大学まで続いている。

 そんな受験がビジネスにもなっていて、学習塾や予備校が一つの産業になっていて大人たちが儲けている。

 日本の受験制度は、若者の可能性や好きなことを選ぶ自由を排除しており、とてももったいないことだと思います。日本には仕切りのようなものがたくさんあって、この規則性に沿って行かないとより高い教育を受けるチャンスが与えられない。とても不公平です。

──日本で出世する人は機転が利き、調整能力の高い人材だが、ではそういう人に理念があるのかというと、疑問で、自己実現の情熱くらいしか持ち合わせていない。今のエリートたちが受けてきたのは「リーダーシップ教育」ではなく「ハイポスト教育」だ、と書かれています。