日本の医療機関の情報が「ダークウェブ」で売られている

――ハイブリッド戦争の脅威は世界に広がっています。日本の備えをどのように評価していますか。
 
廣瀬:日本もサイバー攻撃や情報戦の標的になっています。例えば、新型コロナウイルス禍においては、病院などの医療機関からかなり情報が盗み取られたと言われています。
 
  日本の医療体制やワクチンに関する情報が狙われたのかもしれません。「日本の医療や病院に関する情報がダークウェブ上でかなり売られている」と聞いたことがあります。
 
 地政学的に考えれば、日本にとって最大の脅威は中国でしょう。ロシアはクリミア併合に際して、10年かけて政府技術者を現地に送り込みプロパガンダを展開しました。これと同じように、中国が日本に対して、サイバー空間のみならずリアルの世界で似たようなハイブリッド戦争を仕掛けてこないという保証はどこにもありません。
 
  コロナ禍が開けて海外からのインバウンドが急増しています。インバウンドの増加は経済を活性化させるメリットがある一方で、ハイブリッド戦争のリスクを高める可能性もあります。特に、軍事転用されやすい技術を研究・開発している大学や企業、研究所は、経済安全保障の観点から注意が必要です。