中国では習近平政権の下で文化に対する「統制」が強まっている(写真:新華社/アフロ)

 中国政府の徹底的な監視・監督・指導が最近は全方位的に強化されているが、このところ文化に対する監督・管理が顕著に厳しくなっている。

 その中で、恐れをもってささやかれているのが「文管」の存在だ。文管とは文化市場総合執法隊のこと。文化旅游部傘下の取締官チームだ。5月30日、黒竜江省の文化市場総合執法隊の制服統一式が行われ、それが強烈な政治色を放っているとして、改めて庶民の文管への警戒感が強まっている。

 中国には酷吏(庶民を苦しめる無慈悲な役人)として「城管」が有名だ。これは城市管理行政執法局の小役人たちを指す。彼らは露天商などを違法商売として無慈悲に取り締まり、ときに売り上げを搾取したり、なけなしの商売道具を面白半分に破壊したり、ひどい場合は露天商を暴行して死に至らしめるようなこともしてきた。

 最近はこれに加えて「農管」への反発が強い。これは農業総合行政執法隊のことだ。

 2022年11月には農村管理を強化する農業総合行政執法管理弁法が公布され、その取締官として農管の職権が拡大された。これに伴い農管の横暴な取り締まりがネット上で次々と告発されている。農管は2018年から習近平政権の肝いりで新しく地方に設立されていた。

 彼らは、たとえば劣悪な種子や苗を植えたり、違法な農薬や肥料を使用したり、あるいは病気の家畜肉を違法に流通させたりといった違法行為を取り締まるほか、土壌環境汚染や疾病予防コントロールなどの職責を負う。

 農村農民のこうした管理・監督・指導はそれまでバラバラの部署で行われていたが、2018年の機構改革の時に、これら取り締まり職務を農業農村部傘下の農管に統合する形になった。農管も城管と同じで、違法取り締まりを建前に、農民から農作物を搾取したり、面白半分に農地や農作物を破壊したり、抵抗する農民にひどい暴行を行ったりする酷吏の代名詞となった。

 そして、第3の酷吏として今、「文管」にスポットが当たっているのだ。