ジェフリー・ヒントン氏(写真:ロイター/アフロ)

 人工知能(AI)研究の第一人者、あるいはAIのゴッドファーザーとも呼ばれるジェフリー・ヒントン氏が米グーグルを退職したと、米ニューヨーク・タイムズ米CNBCなどが報じた。ニューヨーク・タイムズとのインタビューで、急速に普及するAIとその開発競争に警鐘を鳴らしたという。

偽の写真、動画、テキストを懸念

 ヒントン氏は、コンピューター上で人間の脳の神経回路を数学的に模倣する「ニューラルネットワーク」の研究を主導した人物。1972年、英エディンバラ大学の大学院生だったヒントン氏はこのアイデアを支持して研究を進めた。当時信じる研究者はほとんどいなかったが、その後ニューラルネットワークが同氏のライフワークになった。1980年代、同氏は米カーネギーメロン大学のコンピュータサイエンスの教授だったが、その後カナダに移り、トロント大学で教鞭をとった。最近はグーグルで研究部門の副社長とエンジニアリングフェローを務めていた。

 同氏はニューヨーク・タイムズとのインタビューで、インターネットが偽の写真、動画、テキストで埋め尽くされ、一般の人々が「もう何が真実か分からなくなる」と語った。「悪意ある人物がAIを悪用するのを防ぐ方法が見つからない」とも指摘。グーグルを退社したことで、「AIのリスクについて自由に話すことができるようになった」と心情を明かした。

ヒントン氏の会社、グーグルが買収

 ヒントン氏は2012年、トロントで2人の学生、イリヤ・サツキバー氏、アレックス・クリジェフスキー氏と共にニューラルネットワークを構築した。これは数千の写真を分析し、花や犬、自動車などの一般的なオブジェクトを学習することができる。

 その後ヒントン氏と2人の学生で立ち上げた会社をグーグルが4400万ドル(約58億円)で買収。このうちサツキバー氏は米アルファベット傘下の英ディープマインドで「AlphaGo」の開発に携わったが、その後米オープンAIのCSO(最高科学責任者)になった。