チェンマイ旧市街には、多くの由緒あるお寺が点在しています。路地を歩いていくと、いつの間にかお寺の荘厳な空気のなかに身が置かれていることもしばしばです。

 大きな黒い犬が私を追い抜いて、お堂の中へと入って行きました。土足厳禁なのに、犬はおかまいなしです。

 恭しくお堂の中へ入ると、先ほどの犬は、我が物顔でカーペットに体を擦りつけています。お坊さんが可愛がっている犬なので、犬には何にもいえないのでしょう。抜けた毛の1本1本を、お年寄りが掃除していました。

 別のお堂でも犬たちが遊んでいました。犬たちはガウガウ言いながら噛みつきあったり飛びかかったりして遊んでいましたが、近くにいたお坊さんがひとこと発すると、ピタリと動きを止めました。

 路上で猫を撮っていたら、「そんな猫は、どこにでもいる。うちにはきれいな犬がいるから見にくるかい?」。おじさんがそう言って腕を大きくふったので、後をついていくと、玄関先に2匹の犬がいました。

 とても愛嬌のよいゴールデン・リトリバーの子犬が笑顔で迎えてくれます。一方ビーグルの先輩は、怪訝な顔をし低く唸っていました。「いくらおやじさんといっしょにきた人とはいえ、犬たるもの、最初っから心を許してはいけないんだよ」と、子犬を指導しているように見えました。

 次回はタイの隣国、ラオスのルアンパバーンの猫たちを紹介します。
赤トラ猫がジャンプで出迎え、これは最上級のおもてなしでは?
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73578