中国がCO2観測衛星「TanSat」を「長征2号D」ロケットで打上げた様子(資料写真、2016年11月22日、写真:新華社/アフロ)

(藤谷 昌敏:日本戦略研究フォーラム政策提言委員・経済安全保障マネジメント支援機構上席研究員・元公安調査庁金沢公安調査事務所長)

 NASAによると、昨年(2022年)12月14日、ISSにドッキングしているロシアの宇宙船ソユーズの外部にある管に小さな穴が空き、冷却液が漏れているのが確認された。

 この事故の原因は、スペースデブリ(宇宙ごみ)や隕石の衝突と考えられている。

 現在、ISSに滞在している7人の宇宙飛行士に危険はないといい、事故後もNASAの宇宙飛行士は船外活動を行っているが、米技術サイトのアーズ・テクニカ編集者エリック・バーガー氏は、「これは、四半世紀近く使用されているISS(宇宙ステーション)の歴史において、最も深刻な事故の一つだ」と強い危機感を表明した。一方、問題となっていた宇宙飛行士の帰還方法については、ロシアの宇宙機関Roscosmosが3月に飛行士をISSに送り込むために用意していたMS-23ソユーズの予定を1カ月前倒して、2月に無人で打ち上げることを明らかにした。

「スペースデブリ(宇宙ゴミ)」とは

 スペースデブリ(宇宙ゴミ)とは、地球を周回する軌道上にある人工物のことで、使用済みまたは故障して使うことができなくなった人工衛星やロケットの上段や、塗料片、固体ロケットモータの燃えカスなど種類は様々だ。