食事を摂る韓国軍の兵士(写真:ロイター/アフロ)

(羽田 真代:在韓ビジネスライター)

 昔から韓国軍の給食は粗末だと有名だった。

 量は少ないし、大量に余った食材の最後の行き場が軍になっているため、賞味期限間近のものが食材として使われることが多い。いま流行りのフードロスには一役買っているような気もするが、そんなことをしていては兵士の士気は下がる一方だ。

 事実、2021年4月には、韓国軍のあまりにも粗末な食事内容が国内で物議を醸した。

 とある陸軍兵士が休暇から戻り、新型コロナウイルス感染防止のための隔離期間に入った時に提供された給食の内容が、あまりにもひどかったのだ。兵士がそれを自身のフェイスブックに投稿して世論に訴えた。

 彼の投稿には、使い捨ての弁当箱にご飯、キムチ、キュウリとタマネギのピクルスが一切れずつ、タッカルビと思われる鶏肉炒めが少量入っているだけだった。しかも、おかずを入れる枠が一つ余っている。

 写真を投稿した兵士は「別の部隊の食事もそうなのか気になる。携帯電話も預け、テレビもなく、食事までこれでは監房と違いない」と怒りを露わにした。

兵士の投稿を報じた韓国JTBC Newsの一場面(写真はYouTube映像のキャプチャ)

 兵士の投稿はみるみるうちに拡散され、韓国国防部を批判する国民の声が高まった。当初、国防部は「すべてのメニューが正常に提供されたものと判断している」と反論したが、収まることのない批判を受け、陸軍参謀総長が謝罪した。

 その後、将兵給食電子調達システムを段階的に導入して食材納入の競争入札をすると公表したり、栄養士を追加採用したりして大改革を図った。

 こうした韓国国防部の大改革によって、軍の給食が見る見る変化した。