鹿島アントラーズの新監督に就任した岩政大樹。かつて「常勝軍団」と言われた姿を、再び作り上げるためにどんなサッカーをしていくのか。

 そのヒントとなる岩政大樹の「チーム作り」について評判を呼んだ昨年の著書『FootballPRINCIPLES 躍動する組織は論理的に作られる』から紹介する。

 今回は、岩政自身が疑った「サッカーを本当にわかっているのか?」という視点から。

攻守は連続する、という言葉の意味

 本書を手に取ってくださるようなサッカーファンの方には「わかってるよ」と言われてしまいそうですが――「サッカーとは連続するもの」という大原則です。

 連続しているものは何か。まず、攻撃と守備の「攻守」になります。

 やっぱり「わかってるよ」という声が聞こえてきそうですが……あえて問いかけてみたいのです。「本当にわかっていますか?」と。

 これは特に指導者にお伝えしたい視点ですが、選手にも考えてみてほしいことです。

 昨今は、攻守が連続することに対する考え方として「切り替え」という言葉がよく聞かれます。これは言葉の功罪もあると思いますが、攻撃の局面、守備の局面が別物として捉えられているように感じないでしょうか。

 攻守が連続するサッカーというのは、そもそもその「つなぎ目」をなくして考えなければいけないはずです。つまり、攻撃した形がそのまま守備の形になり、守備の形がそのまま攻撃になっていること。

 断っておきますが、攻守がはっきりと分かれるサッカーも存在します。特にわたしが最近やるような、「年配者のサッカー」では、ボールを取りました、つないで、ちょっと時間をかけて攻撃しましょう。取られたら、守りますというふうに試合が進みます。

 これは、つなぎ目のあるサッカーです。育成年代でもこういうサッカーはよく展開されています。

 けれど、レベルが上がってくるとつなぎ目がなくなります。すると、何が起こるか。

 攻撃、守備のそれぞれが「チームとしてきちんと設計され、成立していても」、「つなぎ目がうまくつながっていないと、機能しない」という現象が頻出するわけです。

 いくつか例を挙げてみましょう。