写真:ロイター/アフロ

 

2021年の日本代表は、大きく評価が上下した1年だった。5-6月の代表シリーズと東京五輪グループリーグでの躍動。決勝トーナメント以降の失速とカタールワールドカップアジア最終予選での苦戦……。

ではもう少し長い期間で振り返るとどうだろうか。例えば、ロシアワールドカップでの劇的な敗戦は生かされているのだろうか?

元サッカー日本代表で現在、上武大学サッカー部の監督を務める岩政大樹氏の新刊『FootballPRINCIPLES 躍動する組織は論理的に作られる』の第一章が切り込んだ視点を抜粋、ご紹介する。

ロストフの14秒で「見逃された」視点

 記憶にあるサッカーファンの方も多いでしょう。2018年に行なわれたロシアワールドカップ、準々決勝進出をかけた一戦で、日本代表は世界ランキング3位(当時)の強豪・ベルギー代表を相手に善戦しました。後半立て続けに2ゴールを決めた日本は73分までリードを続け、初のベスト8進出という歴史的な瞬間への期待値はかつてなく高まります。

 しかし、その思いは一気に失意へと変わりました。

 衝撃的だったのが、2対2に追いつかれたあとのアディショナルタイムです。ラスト1プレーと思われた、日本代表のコーナーキックで本田圭佑選手が蹴ったボールは、ベルギー代表のゴールキーパー・クルトゥワ選手にキャッチされます。

 その後の一連の動きは、これまた覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

 具体的には、図1のように展開され、失点。もうあと数秒我慢すれば延長戦に突入というところで敗退を喫したのでした。

ロストフの14秒(FootballPRINCIPLESより

 14秒で歴史的な瞬間を逸したことから、その地名と合わせて「ロストフの14秒」と言われています。

 史上初のベスト8進出を逃したこの「カウンター」については、サッカー界の中でもいろいろな意見が出ました。事実、この「ロストフの14秒」には、日本サッカーが世界で勝っていくために「語るべき視点」が詰まっていると思います。