書類の不備で世界遺産の審査に至らなかった佐渡鉱山(写真:Nicolas Datiche/アフロ)

(ファンドビルダー:韓国人コラムニスト)

 2017年10月12日、米政府は国連教育科学文化機関(ユネスコ)を脱退する方針だと発表した。ユネスコが反イスラエル性向を持っている、ということが理由である。その後、米国は2019年1月1日、イスラエルとともにユネスコを正式に脱退した。

 米国のユネスコ脱退は、実は初めてではない。1984年にも、ユネスコが親ソ連志向だという理由で脱退したことがある。その後の18年間は非会員であったが、2002年に再加入し、2019年にまた脱退したのだった。

 2022年2月、日本政府が提出した佐渡鉱山の世界遺産登録に関する資料について、日本側の推薦資料に一部不備があるという理由で、ユネスコが登録審査を担当する諮問機関に該当資料を最初から渡しもしなかったという事実がメディアを通じて知らされた。

 日本政府は不備を補完して、2023年に再度提出する方針だが、いくら完璧な資料を提出しても、結果は同じことになる可能性が高いだろう。

 ユネスコ側が指摘した部分は佐渡鉱山の本質、つまり固有の価値とは何の関係もない、重箱の隅をつつくような不備だった(遺産の範囲を表示する資料が不十分というもの)。しかも、簡単な書類を補充したり、口頭で説明したりするなりしていくらでも補足できる状態であったのにもかかわらず、正式に審査を受ける機会さえ与えないという過剰ともいえる措置を取った。

 そういった対応を考えると、ユネスコ側は佐渡鉱山の落選をすでに決めており、ただ「書類上の不備」を口実にしたにすぎないという推測も可能だろう。そうであれば、日本側がいくら書類を補完して、2023年に再度提出しても、その時は別の口実で落選させる可能性が高いのだ。

 つまり、ユネスコは取るに足らない言葉尻を捕らえ、佐渡鉱山が世界遺産として適合するのかどうかの可否審査を受ける機会さえもはく奪するという決定を下したわけである。

 このようなユネスコの態度は今回が初めてではない。