知人の韓国記者は、記者の間で飛び交う話をベースに次のように説明する。

「2月から韓国と米国とはバイデン大統領の訪韓について協議に入った。この時はまだ文在寅政権時代だった。その後も文在寅外交部はバイデン大統領側に4月訪韓を重ね重ね要請したが、米国は3月の大統領選の結果、政権交代が確定した文大統領と首脳会談をする理由がなかった。そこで、米国側は、訪韓のついでに文元大統領と会うことができるよう日程を調整してみると打診してきた。

 その途端に、大統領府関係者をはじめ文在寅前大統領の側近たちがフル稼働して、まだ確定していない日程を大々的にマスコミに広報しはじめた。これが米国側には負担となった。

 米国側では挨拶程度の軽い会合を考えたが、文前大統領側の主張がいつの間にか独り歩きをしてしまったことで、米国側の立場が苦しくなってしまった。それで、これ以上『バイデン-文会談』の話が大事になる前に、米国側は文氏側に“会談取り消し”を通知したのだ」

「電話会談」終了直後から“実績”として猛プッシュ

 訪韓したバイデン大統領は、尹錫悦大統領との首脳会談が終わってから晩餐が始まる前の時間を利用して文元大統領に電話した。その後、バイデン大統領が尹大統領との晩餐を楽しんでいる間、文在寅氏側は電光石火の早業で、関連写真と報道資料を韓国メディアに配布したのだった。

 配布された資料によると、電話会談には徐薫(ソ・フン)元大統領府国家安保室長と崔鍾建(チェ・ジョンゴン)元外交部第1次官が同席、会談時間は約10分だったという。バイデン大統領は文前大統領を「良い友人」と呼びながら、「1年前にホワイトハウスで初の首脳会談を行い、米韓同盟強化に歴史的な土台を作ったことをいい思い出として持っている」と語ったそうだ。

 口では「忘れられたい」「田舎で静かに暮らしたい」などと言いながら、「都落ち」に帯同させた元大統領府秘書官に、毎日自分の写真を撮らせてはツイッターにアップさせ、存在感を誇示している文在寅前大統領。選挙を控えて、次はどんなアピールで韓国社会を騒がせるつもりなのだろうか。