側近議員たちもメディアで「バイデン-文会談」を猛烈アピール

 それだけではない。文在寅前大統領の側近たちはラジオに出演して、バイデン-文会談の広報に力を注いだ。

「(文前大統領が)退任してまもなく、バイデン大統領側から会いたいという要請があって、現在場所と形式を検討していると聞いている」(卓賢民[タク・ヒョンミン]前大統領府儀典秘書官)

「米国のほうから先に要請したのは事実であり、非常に異例なことは明らかだ。首脳間外交における文在寅大統領の地位を反映したものと考える」(尹建永[ユン・ゴンヨン]共に民主党議員)

「あの忙しいバイデン大統領が韓国へ来てまで文前大統領に会うということは、過去1、2度会った縁や友情を表すためではないだろう。今、金正恩北朝鮮委員長と特別な関係にある人が2人いるが、トランプと文在寅だ。バイデン氏がトランプ氏を特使として送ることはできないため、文元大統領を特使として考慮しているのだろう」(丁世鉉[チョン・セヒョン]元統一部長官)

「文前大統領に対して新政権が政治的に報復したりすることに対する一つの(安全)装置だという解釈もある」(崔宰誠[チェ・ジェソン]元大統領府政務首席秘書官)

 進歩系の『ハンギョレ』新聞は、匿名の外交安保元老の発言を引用しつつ、「韓国の進歩陣営を意識した米国側の“危険分散”戦略」という異色の分析を出した。

<3月の大統領選挙が0.73%ポイント、24万票余りの差で当落が分かれるほど、韓国は保守と進歩の力のバランスが拮抗していることを米国側が意識した行動だ。尹錫悦政府だけでなく韓国の改革進歩陣営を相手に韓米同盟支持世論を強化しようとする布石だ>(ハンギョレ電子版5月19日「“現職”のバイデンはなぜ「前職」の文在寅に会おうとするのか)