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(文:新潮社フォーサイト編集部)

補正予算編成をめぐっていよいよ先鋭化した茂木幹事長と高市政調会長の対立。麻生氏、安倍氏を後ろ盾にする両者の「ポスト岸田レース」にも異変が生じている。

 堅調にみえる岸田文雄内閣の足元で、不協和音が目立っている。ともに「ポスト岸田」を目指す自民党の茂木敏充幹事長と高市早苗政調会長との対立が先鋭化し、緊急経済対策の取りまとめや公明党との協議に支障が生じているのだ。茂木氏は麻生太郎副総裁を後ろ盾にしており、自民執行部内の溝も表面化。次期首相レースの前に、夏の参院選戦略にも影響が出かねない事態に陥っている。

高市氏の頭越しに決まった補正予算編成

「私たちは早く予備費を活用して経済対策を進めたい。本格的な補正予算を編成していたのでは間に合いませんよ」

 高市氏は4月18日、公明党の竹内譲政調会長と会談し、公明が求める参院選前の補正予算編成は受け入れられないと訴えた。

 6月15日までの通常国会の会期内に補正を仕上げるとなれば、7月に予定する参院選の手前で衆参の予算委員会を開かなければならず、野党に追及の場を与えてしまう。そのため政府・自民は喫緊の物価高騰対策を今年度予算で確保した5兆円の予備費で行い、公明が主張する15~20兆円規模の補正予算の編成は、参院選後に先送りする方向で調整を進めていた。

 しかし茂木氏はその裏で、高市氏に正面から断らずに、官邸や財務省と補正予算の編成が可能かどうかギリギリの調整を続けていたという。

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 茂木氏が4月21日、公明の石井啓一幹事長に示したのは、低所得者世帯の子供1人当たり5万円給付や、石油元売り会社への補助金拡充などを盛り込んだ、予算規模2兆7000億円程度の補正予算を編成する案だった。結局、自公は両党の政策責任者を飛び越える形で合意案をまとめ、首相は合意案に沿って補正の編成を指示した。

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