起業、独立、複業など「自分軸」に沿った選択をすることで、より理想にフィットした働き方を手に入れようとした女性たちの連載「INDEPENDENT WOMAN!」。第7回は、女性のバイオリズムや体の変化に寄り添うセルフケアブランド「WRAY」を立ち上げた株式会社WRAY代表取締役の谷内侑希子さん。女性起業家には珍しく、資金調達をして起業した彼女。働き方の軸やブランド立ち上げまでの背景を伺った。

文=吉田可奈 写真=小嶋淑子
谷内侑希子 株式会社WRAY代表取締役
2007年にゴールドマン・サックス証券に入社。2011年にメリルリンチ日本証券に入社。2012年からイギリスに在住し、帰国後、YCP Japanに参画し、スキンケアブランドのマーケティング、商品開発を担当。同傘下のN&O Life(現SOLIA)で取締役に就任。2017年、ステディスタディにて経営企画室室長に就任。2020年に「WRAY」を創業。プライベートでは二児の母。

目指したのは自分にスキルをつけていく働き方

 女性向けのセルフケアブランド『WRAY』を立ち上げた谷内侑希子さん。実は母親も、祖母も経営者というルーツを持ち、いつかは自分も経営に関わるのかなと考えていたんだとか。とはいえ、新卒で就職をするときは、まだ何がやりたいのかが決まっていなかったと話す。

「“この仕事がしたい”という明確なものがなかったので、まずはその先の選択肢が広がればと金融業に就職をしました。金融業は、経済のミクロからマクロまで見る必要があり、すごくいい修行になると思ったんです。その後、夫が海外転勤になり仕事を辞めてついていきました」

 一度キャリアをリセットし、夫の転勤先であるイギリスへと拠点を移したことで気づいたのは、“今後も夫の転勤についていく選択をするのであれば、ひとつの会社でキャリアアップを目指すのは難しい”という現実。それが、彼女にとっての大きなターニングポイントとなった。

「当時、第一子を妊娠していた私にとって、夫の単身赴任という選択肢はありませんでした。さらに、この先も夫に転勤はあるだろうし、ひとつの会社で社員として出世していく働き方には無理があると思ったんですよね。

 そこで考えたのが、自分にスキルを付けて生きていくということでした。数年後に帰国をしたら、もともと興味があったマーケティングのノウハウを身に着け、自分の力にできるように働こうと決めたんです。それと同時に30歳を迎え、これまで働くだけ働いて、ハードワークも経験し、限界も知ったからこそ、ここからは自分のスキルとキャリアを調整しながら生きていくフェーズに入ったなと思いました」