5日のロンドン市場は、リスク回避色が強まり円高・ドル高となった。ドル円は79円台に突入、3月18日の介入後の安値をつけた。きっかけとなったのが弱い英欧経済指標の発表。日本時間17時半に発表された4月の英CIPS非製造業PMIは54.3と市場予想56.0や前回3月57.1を大きく下回った。続いて日本時間19時に発表された3月ドイツ製造業受注は前月比-4.0%と市場予想+0.4%から大幅な下振れとなった。3月のデータも+2.4%から+1.9%へと下方修正されている。序盤堅調だった欧州株は一連の指標結果を受けて下げに転じている。金先物は約1週間ぶりに1500ドル割れ、原油先物も106ドル台へと下落。債券買いが先行するなどリスク回避の動きが広がっている。ロイズ、ソシエテ・ジェネラルなど英欧大手銀行の決算が芳しくないことも株価を押し下げた一因。フィリピン、マレーシアなどアジア各国が利上げを発表したことも株式市場にはマイナスか。

ポンド円は133円近辺から131円台前半へ、ユーロ円は119円台半ばから一時118円割れまでの大幅安となった。ドル円は80.20-30レベルを割り込むと80円の節目を下抜けて一気に79.57レベルまで急落。ストップ注文が連続的にヒットした。野田財務相は訪問中のハノイで円相場についてコメントしたが、為替介入について具体的な言及がなかったことで円高が進んだ面もあった。また、英欧中銀は政策金利を据え置いている。予想通りとして特段の反応はみられていない。

◆資源国通貨も総崩れ、豪ドル円一時85円割れ
英欧経済指標の悪化がリスク回避の材料となっていたが、資源国通貨も株式や商品市況の軟化を受けて下落している。アジアタイムに発表された豪小売売上高が弱かったことで、特に豪ドルが軟調だった。豪ドル円は86円台前半から一時84円台へと下落した。豪ドル/ドルも1.07台前半から1.06台後半へと下落。NZドル円も63円台半ばから62円台後半、NZドル/ドルは0.79台前半から0.78台半ばまで下落した。カナダ円も原油安と歩調をそろえて84円近辺から82.50割れまで下落、ドルカナダは0.98台後半から0.96台半ばへとドル高推移となった。カナダドルは今週、カナダ下院総選挙でハーパー首相率いる保守党が過半数を占めて、安定政権を樹立したばかりだが、世界的なリスク回避の動きには逆らえず押し下げられている。

(Klugシニアアナリスト 松木秀明)