眞子さんと佳子さま(2020年2月23日天皇陛下60歳の誕生日に、写真:ロイター/アフロ)

 眞子さんの結婚に至る過程においてはマスコミ情報があふれた。

 また、森喜朗・前2020東京五輪・パラリンピック大会組織委員会会長は女性蔑視発言をしたとしてマスコミとそれに同調する国民の糾弾で辞任に追い込まれた。

 眞子さんの結婚については真偽綯交ぜての情報が入り乱れ、森氏の発言については問題化したいマスコミが発言の一部を切り取ったもので、その後の検証によると、発言全体はむしろ女性の活躍を称賛したものであることが判明した。

 今日では、SNSで容易に情報に接することができる。しかし、そうした情報はほとんどの場合、約められ、あるいは発信者の意図する方向への誘導目的で曲げられる可能性がある。

 本来の情報が逆転し、発信者があるいは受け取り手が期待する方向で、同意の「いいね」という形で拡散していく。これが世論調査に反映されることになる。

 今日はサイバー戦争の時代と言われるように、ロシアの偽情報がクリミア併合を容易にした。また、中露は先の米国大統領選挙に干渉したことも判明している。

 このように、いまや偽情報が氾濫し、また発信源は多様化し、自国からだけとは限らない。

 日本の世論を誘導したいと思う外国からも、国民の世論形成を意図した偽の情報がやってきて、国民の意思決定に他国の干渉が容易に行われる危険性が存在する状況である。

日本とは何か

 国民が住む領域や国民が形成する国家の主権が守られて初めて独立した国家と言える。しかし、領域に国民がいるだけでは烏合の衆にも似てまとまりがない。

 内戦などが起きるのは、国家をまとめ上げるカリスマ的人物や組織がないからである。

 幸い日本では肇国以来、権力が購えない、当初は大王などと呼ばれ、後には天皇と呼ばれる人物とそれを守る皇室が存在し続けてきた。

 国家の非常時にあっては、天皇は国民が我が身を擲ってでも守ろうとした至尊の存在であり続けた。これほどの団結が日清戦争や日露戦争の勝利をもたらした。

 20世紀に入ると天皇制廃止を掲げた共産主義に対処するために大陸に出兵し、これが米英との戦争に発展した。