幸い、対中戦における地理的最前線は、九州から与那国島にかけての第1列島線北部である。そのため、日本が自らの領域を防衛するために戦力を強化しても何の不思議もないことになる。
そうした背景から、アメリカやオーストラリアからは盛んに中国による台湾侵攻の危機に加えて、「台湾の次は尖閣だ」といった警告が発せられるようになってきた。
もちろん、オーストラリアの国防相などに言われるまでもなく、尖閣諸島の防衛は日本自身が自ら実施するべきである。しかし残念なことに、これまでアメリカ政府高官に「尖閣は日米安保条約の適用範囲内にある」と言わせることだけが唯一の防衛戦略であった日本政府は、具体的な尖閣防衛策を打ち出そうとしていない。
本コラムで数年前より(そして米海軍などでは20年も前から)提示してきたように、尖閣諸島魚釣島に海洋気象測候所を設置することこそ最善策である。だが、対中強硬姿勢をとっていた安倍政権時代にもこの策は実現しなかった。そうなると、もはや日本にはこの策を実施することは不可能と考えられる。そこで次善の策(大型観測基地船常駐策)を実施する必要に迫られている。
アメリカの覇権維持のために駆り出されるのは愚の骨頂である。日本は自らの意志として尖閣防衛の手を打たなければならない。詳しくは稿を改めて記したい。