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(岡村進:人財育成コンサルタント・人財アジア代表取締役)

 長い会社人生をスタートさせた若者にぜひ伝えておきたいことがある。「できない上司」に出会ったときの対処法である。これを知っているか、知らないかでその後の人生は大きく変わる。何より豊かな社会人生活を送るためにぜひ心にとめておいてほしい。

パワハラと「できない上司」の関係

 バブル真っ只中に就職した私は、若いころとんでもないパワハラ上司に仕えたことがある。

 毎晩、深夜2時まで部下を働かせた挙句、翌朝8時に全員出勤していないと腹を立てる。順繰りに呼びつけては1時間近く立たせたまま怒鳴り続けることもあった。そんな狂った時間は、いまも忘れられない。

 最後は、「助けて!」と声を上げて他部門に異動させてもらった。「情けない」と忸怩たる思いを抱えたが、パワハラ上司からは逃げるしかなかったのだ。だから、昨今ハラスメントに対する社会の意識が高まったことは本当に素晴らしいことだ。いまの若手は、さぞかし有意義に時を過ごしているだろう。こう思っていたが、どうも様子が違うのだ。

 若手と話していると、「上司に自分の悪いところを聞いても、はっきり言ってくれないので不安」という。

 上司世代に理由を聞くと、「欠点を指摘すると反論されたり、時にはハラスメントと言われたりするのが怖い」という。そう言われないように言葉を尽くして指導するのが、上司の責務だが、とはいえ今のご時世、自身のハラスメントを過度に恐れる気持ちも分からないでもない。