中国の好感度、ヨーロッパで急降下

 リストニアはもともと旧ソ連から独立した国で、共産系や強権的な国に対して厳しい対応を見せている。ここ最近の中国との関係悪化を背景に、今年3月には、リトアニアの女性国会議員ドヴィーレ・シャカリアーナ(Dovilė Šakalienė)が中国政府によるウイグル族への迫害を批判し、「中国共産党からブラックリストに加えられた」と報じられた。

 この議員は、欧州など世界各地の政治家などとツイッターで中国批判のメッセージも作成して、最近公開し(https://twitter.com/DSakaliene/status/1437177023609331712)、中国のような強権的な国家の脅迫には屈しないと声を上げている。こうした動きには、かねてから5G通信機器などで中国企業の排除を進めてきたアメリカのトニー・ブリンケン国務長官が、「リトアニアをNATO加盟国の密接な同盟国として支持する」とツイートしている。

 欧州では、中国を発生源とする新型コロナ感染症の蔓延や、その後の責任逃れをしようとする中国政府の対応、さらに香港の安全維持法制定、ウイグル族への迫害などで中国に対するイメージがかなり悪化している。米ピュー研究所の欧州先進国9カ国(ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、スペイン、ベルギー、スウェーデン、オランダ、ギリシャ)への調査で、中国を好ましくないと思っている人の割合は66%で、好意的に見ている人は28%だけだった。ちなみに一番中国を嫌っているのはスウェーデンで80%の国民が中国を批判的に見ている。

 2019年にG7の中で初めて中国の「一帯一路」に参画する覚書を交わしたイタリアも、今年2月に首相になったマリオ・ドラギ氏などは、中国に対して「多国間のルールを守らない専制国家、民主主義国家と同じ世界観を共有していない」と厳しく批判するようになっている。

 そうした中、今回の「検閲機能付きスマホ」という調査結果の公表は、さらに大きなイメージダウンの要素になるだろう。