2019年12月、WBA世界ミドル級8位のスティーブン・バトラーと対戦し、初防衛に成功した村田諒太(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 日本ボクシング史上、過去最大級のビッグマッチが実現することになりそうだ。ボクシングのWBA世界ミドル級スーパー王者・村田諒太が今年12月28日、兵庫・神戸において元3団体統一同級王者で現IBF世界同級王者のゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)と対戦することが濃厚となった。米スポーツ専門メディア「ESPN」が22日(日本時間23日)に伝え、25日には日本の一部スポーツ紙も村田の所属ジムである帝拳・本田明彦会長が交渉を進めていることを認めたと報じた。

 この両者の統一戦実現については既に今年5月の時点で「ESPN」のコラムニストが「両陣営で合意」と第一報を流していたが、ここにきて加速度を増した格好だ。あとはゴロフキンの中継権を持つ動画配信サービス「DAZN」の承認が得られ次第、正式発表される見込みという。

 コロナ禍の中で調整が進められているビッグマッチだけに、まだ流動的なところもある。しかしながら日本国内でワクチン接種が着々と進められ、第5波は沈静化に向かいつつあり、政府も緊急事態宣言とまん延防止等重点措置について全て解除する方向で調整を進め始めた。こうした背景をポジティブにとらえれば、村田陣営も、現時点では慎重な言い回しになるしかないが、内心では何としてでも今年末のゴロフキン戦は実現させたいはずであろう。もう、残された猶予は限りなくないからである。

待望のゴロフキン戦だが、村田にとって「厳しい戦い」に

 いまさら説明するまでもないだろうが、ゴロフキンは「GGG」の愛称で知られるミドル級のスーパースターだ。43戦41勝1敗1分36KOと戦績を誇り、生涯唯一の黒星は2018年9月に「カネロ」こと現3団体統一スーパーミドル級王者のサウル・アルバレス(メキシコ)に0―2の僅差で「疑惑の判定負け」となった1敗のみ。

2018年月、「カネロ」ことサウル・アルバレス(左)と激闘を繰り広げたゴロフキン(写真:AP/アフロ)