3月最初の取引となった2日の米株式市場では、メルトダウン的な下落が続いた。ニューヨークダウ工業株30種平均は4日続落で、しかも下げ幅は前週末比▲299.64ドルという大きなもの。7000ドルの大台を割り込むのみならず、6800ドルも割り込み、終値は6763.29 ドルとなった。これは1997年4月以来の安値水準である。S&P500種の2日終値は700.82(前日比▲34.27)で、700の大台割れ目前となった。日本のTOPIXをS&P500種で割った数字であるTS倍率は、1前後が安定圏とみられる。2日終値でTOPIXは734.59となっているが、今後700の大台割れを試す公算が大きい。日経平均株価についても、筆者がかねて予想している通り、終値で7000円を割り込む動きが今後予想される。

 

 こうした株価崩落の背景をどうみるかについては、『米政権「持久戦」(2)』ですでにコメントしたばかりなので、ここであらためて説明を繰り返すことはしない。要は、「予備戦力の低下」(政策発動余地の限界)に直面して「持久戦」を選択せざるを得なくなったオバマ政権に対して、景気後退と信用不安の「負の相互作用」という「敵軍」の攻勢が強まっており、オバマ政権に「勝算」らしきものがまったく見えてこない構図だ、ということである。

 経営が行き詰まり、10-12月期決算が米国企業として過去に例のない巨額の赤字決算に陥った大手生保に対する追加支援策を、米政府・FRB(米連邦準備理事会)がこの日発表。300億ドルの追加資本注入のほか、FRBが上記生保の子会社2社の株式を特別目的会社を通じて間接保有するといった異例の内容。米財務省とFRBが発した共同声明には、「この金融システム上で重要な会社を米国の納税者を最もよく守る方法で安定化させるために(in order to stabilize this systemically important company in a manner that best protects the U.S. taxpayer)」公的支援を行うのだと謳われている。だが、こうした支援策追加には「なし崩し」「苦渋の選択」といった形容が一番あてはまる。