1.評価が割れる台湾侵攻の可能性
中国の台湾侵攻についての報道では、「切迫している」という情報と「切迫していない」あるいは「優先順位は低い」といった両極の情報がある。
「切迫している」という報道では、「北京冬季オリンピックが終われば生起する」「一国二制度が崩壊した香港の後、残されているのは台湾を占領すること」「中国が48時間で台湾本島を制圧できる」という情報まである。
今年3月に米上院軍事委員会で、ハーバート・マクマスター退役中将は「2022年以降が台湾にとって最大の危機を迎える時期である」と証言した。
また、デービッドソン・インド太平洋軍前司令官は「今後6年以内に中国が台湾に侵攻する可能性がある」と証言した。
私は、この2人の発言は、米国軍事情報機関の情報を踏まえた発言であり、信頼性は高いと考える。
一方、マーク・ミリー米統合参謀本部議長は2021年6月、中国が台湾に軍事侵攻する可能性を巡り、「近い将来に起きる可能性は低い」との見解を示した。
これら米軍高級幹部の発言では、1~2年以内には「可能性は低い」が、6年以内には可能性があるということになる。
前述の真逆で、「台湾統一の優先順位は高くない」「台湾有事は切迫していない」「6年以内という予測は、想像にすぎない」という評価もある。
現実には、どの可能性が高いのだろうか。