鯛よし百番の内部を見学する子供と保護者

 8月1日、大阪・飛田新地で一風変わった社会見学が開催された。「夏休み親子社会見学 in 鯛よし百番で地域の歴史を学ぼう」と題した見学会である。

 鯛よし百番とは、大正時代末期に建てられた元遊廓を利用した老舗料亭である(いわゆる“料亭”ではなく料理店)。当時の妓楼建築の趣を今日に伝える近代和風建築として高く評価されており、国の登録有形文化財に指定されている。

鯛よし百番。豪壮な妓楼建築の特徴を現代に伝える
日光東照宮の陽明門を模した内装
住吉大社の太鼓橋を再現している

 この鯛よし百番を舞台に、近隣の金塚小学校の児童と保護者が鯛よし百番と、飛田遊廓から飛田新地に至るまでの歴史を学ぶという企画である。

 親子社会見学だが、子供たちは鯛よし百番の中でクイズやコスプレ撮影会に興じており、遊廓に関する話を聞くのは保護者だけだ。とはいえ、日本屈指の風俗街、飛田新地を抱える地域の歴史を元遊廓で学ぶというのは、企画としてなかなかエッジが立っている。

 当日は午前と午後の2回で12家族、30人が訪れた。今回の社会見学は西成の街づくりや百番の再生に携わるサミット不動産の杉浦正彦代表が金塚小学校のPTAに持ちかけたことで実現した。その背景には、金塚小学校の持つ複雑な事情がある。