米国経済が確かな回復過程に入ってきた。ギリシャ・ショック、ユーロ危機も克服、米国株価はリーマン・ショック時に6割の大暴落を経験したが、2年後には2倍に回復、米国企業収益は過去ピークを更新している。
グローバリゼーションとインターネット革命による生産性の向上がその背景にある。生産性の上昇により雇用回復が緩慢だが、企業利益の増加が株高を支え、株高による資産効果が消費回復を促進している。
金融市場におけるリスクテイク意欲も高まっている。特にヘッジファンドの隆盛が鮮明になってきた。ハイテクの主役がIBMなどの既存大企業からグーグル、フェースブックなどの新興企業にシフトしたように、金融も新興企業の出番となりつつある。
グリーンスパン前米連邦準備理事会(FRB)議長は、規制の強化が金融活動を阻害しているとの理由から、新しく成立した金融規制法に厳しい批判を加えている。神の見えざる手により、金融市場はより効率的に機能し得る、との信念である。制度の最終的な落ち着きどころはいまだ不明だが、金融が進化し、ビジネスチャンスが拡大していることは確かである。米国経済と金融はダイナミズムを強めている。