マレーシアの警察当局はこれまでに摘発した国内のテロ組織メンバーに対する捜査の過程で、2020年にマレーシア政府要人に対する暗殺計画があったことを明らかにした。暗殺対象者のリストには当時のマハティール首相ら政府要人が複数含まれており、「テロ組織の摘発でこうした暗殺計画は未然に防ぐことができた」としている。
マレーシアのメディアによると、この暗殺計画の存在と摘発は、国家警察対テロ部門の担当者アズマン・オマル氏が3月25日にクアラルンプールで開催された「パンデミック下のイスラム過激主義」に関する会議の席上で明らかにしたもので、2020年1月6日にテロ組織「ジェマ・アンシャルット・タヒド(JAT)」のメンバー6人(うちインドネシア人1人)を摘発し、そのメンバーに対する尋問の中で明らかになったとしている。
JATは、イスラム国家建設を目指すイスラム運動の先鋭化・地下化に伴い、1993年にマレーシアでインドネシア人のイスラム寄宿学校指導者アブ・バカル・バシル師によって組織されたテロ組織「ジェマ・イスラミア(JI)」を母体としている。その後JIが分裂を繰り返す中で、2008年にJATが編成され、マレーシアとインドネシアで非合法テロ活動を続けている。
マハティール首相らを刃物で襲撃計画
警察当局によると、2020年1月6日にペラック州で逮捕されたJAT幹部のワン・アミラル・アズリン・ビン・ジャラルディン容疑者が取り調べの中で「政府要人への暗殺計画」を自供したという。
ワン・アミラル容疑者はSNSを通じて政府要人の襲撃を予告していたことから、反テロ法違反で他のメンバー5人とともに逮捕された。
自供によれば暗殺対象者には当時のマハティール首相、リム・グアン・エン財務相、ムジャヒド・ユスフ・ラワ宗教担当大臣、トミー・トーマン検事総長が挙げられていたとう。