「高年齢者雇用安定法」に関連した助成金とは?

「高年齢者雇用安定法」への対応を進めるために利用できる助成金もある。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構による「65歳超雇用推進助成金」が代表格で、以下の3コースで構成されている。

●65歳超継続雇用促進コース
 65歳以上への定年の引き上げ、定年の廃止、希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入、以上いずれかの措置を実施した企業を支援するための助成金。1事業主につき1回限りの支給。

●高年齢者無期雇用転換コース
 50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を、無期雇用に転換した企業を支援する助成金。無期雇用転換計画の作成・認定と、計画に基づいて実際に無期雇用へと転換することが必要になる。

●高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
 高年齢者の雇用環境整備(能力開発・能力評価、賃金体系、労働時間の見直しなど)の措置を実施する企業に、導入のための経費の一部を支給する。

 

「高年齢者雇用安定法」への対応は迅速・円滑に進めることが重要

「70歳までの就業確保措置」は、あくまで努力義務である。だが努力義務を怠って行政指導の対象となれば、イメージダウンは免れない。逆に積極的な取り組みは、採用・離職防止の点で大きなメリットをもたらしてくれるだろう。

 また単純に「65歳以上」「70歳まで」と区切って制度を整備するのではなく、40~50代から70歳に至るまでのキャリアプランやライフプランを従業員に提示できるような人事制度の設計に取り組むことが理想といえる。従業員のモチベーション向上につながり、社会的にも高く評価されるはずである。

 そもそも少子高齢化と労働人口の減少は絶対的な事実であり、高年齢者の雇用安定はすべての企業が向き合わなければならない大命題だ。さらにいえば、今回の改正における“努力義務”が、将来的には“義務”となることも十分に考えられる。いち早く準備を進め、70歳までの就業確保措置を完全な形へと持っていくことが重要である。

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HRプロ編集部

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