台湾がGAFAを支える?
さて、台湾の経済を牽引しているのは「半導体」です。
世界の企業ごとの半導体メーカーの売り上げで、堂々、世界のトップ3にランクインしているのが、台湾のTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.)です。
世界の半導体メーカーの売り上げ上位10社のうち、台湾の企業は1社だけですが、台湾の輸出額の内訳を見てみると、電子部品と情報通信部品の合計で輸出の4割強を占めています(2018年、台湾財政部統計の資料による)。
新型コロナウイルス感染症による、いわゆる巣ごもり需要やテレワークに応えるスマートフォンなどの端末、そして自動運転化への進化が著しい自動車産業など、台湾の経済はまさに時代の波に上手く乗っているといえるでしょう。
GAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)に代表されるような、巨大ICT(情報通信技術)・AI(人工知能)企業を支えているのが台湾だと考えられます。
長期投資の視点に立って台湾を見る
さて、まさにトレンドに乗る台湾ですが、長期的な視点で考えてみましょう。
台湾の輸出額のうち、4割を占めているのが半導体なのは先述の通りです。台湾の経済はモノカルチャー経済とはいいませんが、偏った傾向が否めません。
ICTやAIは、常に進化し続けていますので、その進化にさえ応えることができれば、その需要が途切れることはないと考えられますが、世界市場で支配的な地位にあるGAFAや自動車メーカーに、(表現としては微妙ですが)事実上、国ごと振り回されてしまうことも考えられます。
先述のとおり、島国の台湾。その面積は九州よりも少し狭い程度で、2300万人ほどの人口です。ですので大きな内需は期待できません。「国ごと振り回されてしまう」という表現も、あながち大袈裟ではないのではないでしょうか?
また、台湾でも、日本と同じく少子高齢化が進みつつある点も気掛かりです。
若い人が減っていく台湾の社会が、ICTやAIなどの進化の激しさに対応し続けることができるのでしょうか? という心配を抱くのは筆者だけでしょうか?
加えて、少子高齢化が進みつつあれば、内需が縮小していく一方なのは、これまた日本と同じですよね。
ところで半導体売上高上位10位に名を連ねている企業の国は、台湾のほかはアメリカ、中国、韓国、そして日本です。
日本はともかく、GAFAがあるアメリカや、世界一の人口を抱える中国がいて、競合が激しいことが察せられます。
競合が激しいことが、台湾の企業にとってプラスなのかマイナスなのか、今のところは何とも申せませんが。
半導体に続く主力産業が育つかが、台湾の将来の成長のカギともいえそうです。
このように考えてみると、やはり投資先が「台湾だけ」と言うのはリスクの高さが否めません。
繰り返しになりますが、内需が期待できない国で、輸出産業が半導体関連に偏っている点が気になります。
とはいえ、新型コロナウイルス感染症の抑え込みの成功と、現在の半導体メーカーの強さは魅力です。
台湾だけに絞らず、台湾とともに、他の国への投資も視野に入れて、考えるべきでしょう。