死亡保険はその名の通り、被保険者(保険の対象者)が亡くなった際に家族へお金を遺すための保険です。とはいえ、死亡保険によっては、生存中に所定の状態となった場合にも、保険金を受け取れる仕組みが用意されているものもあります。今回はその仕組みの活用について考えてみましょう。
死亡保険で備えられる生存中の不測の事態とは?
定期保険や終身保険といった、被保険者の死亡に備える保険では、被保険者が亡くなられた際にまとまったお金を受け取れます。しかし、病気やケガで一命はとりとめたものの、身体に重篤な障害が残ってしまう場合もあるでしょう。そうすると、住宅のバリアフリー化などで大きな費用がかかることも考えられます。あるいは、病気などで余命宣告を受け、緩和ケアを受けるための医療費などを必要とするケースもあるかもしれません。
亡くなった際にではなく、亡くなる前にお金を受け取って活用をしたい。そのようなときは、保険会社所定の条件を満たしていると、死亡保険に用意されている「高度障害保障」や「リビング・ニーズ特約」を利用できる可能性があります。
「高度障害保障」とは?
「高度障害保障」とは、被保険者が保険の責任開始日以降に病気やケガを原因として、高度障害状態となった時の保障です。保険会社所定の高度障害状態となった場合に、死亡保険金を高度障害保険金として受け取れるのが一般的な内容です。
高度障害状態の定義は保険会社によって異なりますが、下記のような例が挙げられます。
【高度障害状態】
- 両眼の視力を全く永久に失ったもの
- 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
- 中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
- 両上肢とも手関節以上(手首から先)で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
- 両下肢とも足関節以上(足首から先)で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
- 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの
- 1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの
なお、身体障害等級認定を受けていても、保険会社所定の高度障害状態に該当しない場合は、高度障害保険金の受け取りはできません。また、責任開始日前の病気やケガが原因の場合も同様に保険金の受け取りはできません。