厚生労働省より、2019年12月27日に「改正育児・介護休業法施行規則及び改正指針」が告示され、2021年1月1日に新しい「育児・介護休業法」が施行されました。今回の法改正により、「子の看護休暇・介護休暇」について取得単位と取得対象労働者に変更が生じますが、社内での対応は済んでいますか? 国が推進する「働き方改革」に関連する法改正でもあるので、内容や注意点を理解し、適切に対応しましょう。
事情に合わせて柔軟に休暇を取得できる「子の看護休暇・介護休暇」とは
「子の看護休暇・介護休暇」とは、「育児・介護休業法」で定められている休暇制度です。対象となる労働者は、年次有給休暇とは別に、この休暇を取得することができます。「子の看護休暇・介護休暇」は“有給”である必要はありませんが、労働者から取得の申し出があった場合、原則的に事業主は拒むことができません。休暇を取得できるケースや、取得上限日数は下記の通りです。
【子の看護休暇】
・利用条件
小学校就学前の子のケガ・病気の世話や、健康診断・予防接種を受けさせる時
・取得可能な日数
上限日数は年度において5労働日(小学校就学前の子が2人以上の場合は10労働日)
【介護休暇】
・利用条件
要介護状態にある対象家族の介護や、その他の世話をする時
※「その他の世話」とは、通院の付き添いや介護サービス適用を受けるために必要な手続きの代行などが該当するほか、対象家族の世話と認められるものであれば、家事や買い物も含まれる
・取得可能な日数
上限日数は年度において5労働日(要介護状態にある対象家族が2人以上の場合は10労働日)
法改正で「子の看護休暇・介護休暇」は何が変わるのか
今回の法改正により、「子の看護休暇・介護休暇」は「時間単位」で取得できるようになりました。さらに、今までは休暇取得の対象外だった労働者も、対象に含まれるよう変更されています。
<改正前>
・1日もしくは半日単位で休暇の取得が可能
・1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は休暇を取得できない
<改正後>
・「1時間」単位での休暇の取得が可能
・休暇取得が可能な対象は「すべての労働者」
法令で求められている時間単位休暇では、いわゆる「中抜け」(就業時間の途中から時間単位の休暇を取得し、就業時間中に再び業務に戻ること)が認められていませんが、法を上回る制度として、「中抜け」が可能な休暇取得を認めるよう配慮を求めている点もポイントです(※)。
このように、労働者がより育児・介護と仕事を両立しやすくなるよう、休暇取得の柔軟化を企業側に求めた改正内容となっています。