日本企業が「月給制」を採用してきた背景

 これまで、多くの企業が「月給制」を採用してきました。業績は年間2回の賞与に反映します。

「月給制」を取り入れることで、企業は従業員の1ヵ月の勤務に対して評価を行うことができます。従業員が遅刻や早退、欠勤した場合は、「ノーワーク・ノーペイ」の原則にしたがい、その分を月給から控除します。反対に、無遅刻無欠勤なら「皆勤手当」を支給するといった方法で評価することが可能です。

 さらに、毎月の成果を6ヵ月間分まとめて評価するのが「賞与」です。1年という長い期間よりも、6ヵ月という半分の期間で行う方が、実際の業務や業績に応じて正当性の高い評価をすることができるでしょう。そして、従業員に対してインセンティブ(やる気を引き立てる動機付け)の効果も早く出ます。

 このように、「月給制」は従業員の勤務態度や業績に対して迅速に対応できます。加えて、中小企業が長く「月給制と賞与制度」を導入してきた背景には、「日本の企業文化」の影響もあります。従業員の日常生活や将来は、安定した給与体制と業績に応じた賞与制度をベースに、すでにライフプランニングされているのです。

以上を踏まえると、やはり「月給制」のほうが日本企業には適しており、よほどのメリットが見込めなければ「年俸制」を採用する必要はないと私は考えています。

真田直和
真田直和社会保険労務士事務所 代表
https://www.nsanada-sr.jp/

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HRプロ編集部

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