株式会社ビズヒッツは2020年11月、「初めての転職に関する意識調査」の結果を発表した。調査期間は2020年11月8~20日で、20代で初めての転職を経験した男女554人から回答を得た。これにより、20代ビジネスパーソンの転職活動への意識と課題などが明らかになった。

20代での転職理由は「待遇や環境改善」、「人間関係」と多くが回答

 多様な働き方を自ら模索する手段として、ビジネスパーソンにとって転職は一般的になってきている。それでは、若いうちに転職を経験した20代のビジネスパーソンは、その経験をどのように振り返っているのだろうか。

 はじめに、20代で初の転職を経験した554人に転職理由を聞いてみると、第1位は「待遇・労働環境への不満」(175人)、第2位は「人間関係」(97人)という結果に。「待遇や労働環境を改善させるために転職した」という人が最も多いことがわかった。

「待遇や労働環境を改善させたい」とした回答者からは、「週6日の勤務とサービス残業で朝から夜まで休みなく働いており、このまま働き詰めの生活でいいのか悩み始めた」(26歳女性)、「長時間の残業や上司との飲み会も必須。給料が安く体力的にも精神的にもきつい毎日だった」(26歳女性)などの声があがった。また、「人間関係」とした回答者からは、その理由に「直属の上司によるパワハラ」(26歳女性)、「人間関係が原因で精神面に支障をきたした」(20歳女性)などがあげられた。

20代の「前半」と「後半」では、転職理由に異なる特徴も

 続いて、20代前半/後半で回答結果を比べてみると、ランキングには若干の差異が見られた。トップの「待遇や労働環境への不満」は両者ともに1位だったものの、20代前半では2位に「仕事が合わない・望んだ仕事ではない」があがった。「現状を変えたい」という理由が大半を占め、より自分に合った条件や環境を求め、転職に至っていることがうかがえる。また、5位には「今の仕事にやりがいを感じない」という声もあがった。

 一方、20代後半では「スキルアップ」や「新たな仕事への挑戦」を目的として転職する人が多いことがわかる。ある程度経験を積み、自信がついたタイミングで動いていると考えられるだろう。また、「結婚・出産・引越し」など、ライフスタイルの変化を理由とした転職理由もランクインした。

転職活動での失敗は「働き方のリサーチ」や「他社との比較検討」

 続いて、「20代の初めての転職で失敗したこと」について聞くと、第1位が「転職先のリサーチが足りなかった」(98人)、第2位が「他の会社と比較検討すればよかった」(77人)、第3位が「前の会社より労働環境が悪くなった」(76人)、第4位が「 給料が下がった」(64人)などとなった。

 1位の「転職先のリサーチ不足」の回答者からは、「入社後に成績のノルマがあることやシフト制であることを知った。もっと調べてから入社を検討すべきだった」(26歳女性)、「社風や給与体制、昇進、有給の取得など細かな条件を確認しないまま、最初に内定をもらった会社に決めてしまった」(24歳女性)などという声が寄せられた。企業とのコミュニケーション不足により、ミスマッチを感じた人が多いようだ。

 また、2位の「他の会社と比較検討すればよかった」とした回答者からは、「焦りから最初に内定が出た企業に即決したが、もう少し他の企業を視野に入れても良かった」(22歳女性)、「人材紹介会社や転職サイトをもっと活用し、働きやすい環境を調べてから転職すれば良かった」(25歳女性)などという声があがった。転職活動では「早く転職先を決めたい」という気持ちが焦りにつながり、結果として理想の転職に至らないことが少なくないようだ。

 若いビジネスパーソンは、「職場環境への不満」や「待遇を改善させたい」という思いから転職を進める場合が多いようだが、「思い描く転職ではなかった」と振り返る人も少なからずいるようだ。社員の定着を促すためには、転職希望者との認識が合っているかを確認する、丁寧なコミュニケーションが必要になるのかもしれない。

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HRプロ編集部

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