S&P500配当貴族指数(S&P 500 Dividend Aristocrats)とは

 S&P500配当貴族指数(以下、配当貴族)とは、アメリカの株式を対象としたアメリカで発表されている株式指数(インデックス)の1つです。
 インデックスである配当貴族の対象となる株式、つまり構成銘柄となるための条件は以下の通りです。

  • S&P500の構成銘柄であること
  • 大型企業であること
  • 25年以上にわたり連続して増配を実現していること

 配当貴族の構成銘柄のうち、日本にいる私たちにも馴染みのありそうな銘柄(=企業)をいくつか挙げてみましょう。いずれも、少なくとも名前くらいはご存じの会社ではないでしょうか? ちなみに会社名の後のカッコ内の数字は「増配の年数」です。

  • P&G(63年間)
    衣料用洗剤や柔軟剤などで著名ですね
  • Coca-Cola(57年間)
    そうです! あのジュースなどでご存じの会社です
  • McDonald’s(44年間)
    お馴染みのマックですが、アメリカの企業です
  • Aflac(37年間)
    がん保険で有名なアフラックですが、やはりアメリカ企業です

 増配とは、単に「毎年、コンスタントに株主に配当金を支払い続けている」だけではありません。「株主に払う配当金の額が、毎年、コンスタントに増え続けている」という意味です。何十年と、中には半世紀を超えて配当金の額が増え続けている会社もあるのです。

ハンバーガーとコーラ日本でもおなじみの会社も配当貴族に採用されている(写真はイメージです)

 配当貴族の構成銘柄は、2020年時点で64銘柄。うち50年以上にわたって連続増配しているのは15銘柄です。最も長きにわたり増配しているのは、総合工業製品メーカーのDoverで、64年間です。

連続増配企業は、資金調達などの財務面でも優れている

 さて、かいつまんでではありますが、配当貴族の構成銘柄をいくつか挙げてみました。業種と申しますか、業界に偏りが無いことが分かります。つまり、指数としての配当貴族は分散投資が実現できている、といえそうです。

 企業が毎年、株主に配当金を支払い続けるためには、少なくとも毎年の業績が安定的に伸びていなくてはなりません。
 加えて、会社が保有する現金の額も安定している必要があります。言うまでもありませんが、配当金は現金での支払いです。
 そして、配当の時期も決まっています。つまり、決まった時期に潤沢な現金を準備していないと、連続増配が実現しません。今回の新型コロナウイルス感染症の影響で、資金繰りに行き詰っているようでは、連続増配はおぼつかないでしょう。

 また、50年以上の長きにわたり連続して増配を実現しているということは、オイルショックやベトナム戦争、ITバブル崩壊、リーマン・ショックなど、数々の難局を乗り切ってきた「歴史」があるということです。配当貴族に投資することで、あるいは、将来の「歴史」の目撃者の1人になれるかもしれません。

 連続増配を長きにわたって実現している企業は、資金調達などの財務面においても優れている、と評価できそうです。